ナチュラルにスマユリ風味なのでご注意ください。 -------------------- 今日はみんな別々の仕事で、ユーリとは終わる時間が同じくらいだったから一緒にご飯でも食べにいこうかと約 束していたのだけど。 (今日はアッシュのご飯がないからね。) 待ち合わせの時間30分前。 まだぼくの仕事は終わる気配がなかった。 「ユーリごめんっ。ちょっと撮影押してて…まだ1時間くらいかかるかも…。」 (だから、今日は残念だけど…) 「それなら私がそちらに向かおう。此方は丁度終わった所だ、ゆっくり向かえば一時間くらいで着くだろうから。」 ではまた後でと電話を切られてしまった。 ユーリの方から来てくれるなんてそんな…え、空耳…?と通話の切れた携帯を手に放心しているとスタッフから お呼びがかかる。 ユーリが来る……それなら早く終わらせなきゃ。と思わず緩んでしまう頬を軽く叩いて気合いを入れ直した。 …いつもなら先に帰るか適当な場所でスマイルが来るのを待っていたかもしれない。 まだ雪も降るような季節だが、今日は少し寒さが和らいで幾分か過ごしやすい。 春が近付いて来ているのかと思ったら気分が良くなって外を歩きたくなったのだ。 今は久々に乗った電車を降りてスマイルが仕事をしているビルに向かって歩いている。 駅から歩いておよそ15分。電話で聞いたとおりなら着く頃には終わるだろう。 携帯で時間を確かめようとポケットに入れた手が何か違うものに触れた。 今日の仕事で一緒だったスタッフにもらったチョコレート菓子。 14日は過ぎたけれどまだ当日会えなかった知り合いやスタッフから贈り物を貰ったりする。 綺麗にラッピングされた包装を解いて1つ口に入れると甘い甘いチョコレートが溶けて広がった。 14日も其々別件で仕事をしていてメンバーと顔は合わせなかったが次の日に事務所宛に届いた贈り物を3人で受け取った。 その時特別スマイルにチョコレートをねだられたり貰ったりということはなかった。 (彼奴の事だからもっと騒ぐかと思ったのだがな…。) ふと前方の店の前に目が止まった。 店頭で無造作にワゴンに詰められたチョコレートの山が値下げされ売られている。 立ち止まり手に取って少し考えた…。 スマイルの居るビルに着いて自動ドアを潜ったところに丁度本人がエレベーターから下りてきた。 幾つかの可愛らしい(恐らくチョコレートの入った)紙袋を下げて。 (……私も貰ったのだから、スマイルだって貰うだろう) さっきの店で買った贈り物用の包装もされず袋にも入れずそのまま手に持っていたただの板チョコが急に重くなった。 「ユーリ!ごめんねわざわざ来て貰っちゃって。」 私に気付いて駆け寄ってくると、へへ戴いちゃったー。ユーリとアッシュ君にもあるよ。と紙袋を挙げて見せた。 何を食べようか〜と外に出るスマイルを慌てて追い掛けた。 スマイルが何食べたい?等と話を振ってくるが生返事しかできない。 さっきまでの浮かれた気分はすっかり何処かへ行ってしまった。 急に馬鹿馬鹿しくなってしまったのだ。 特別な日に胸踊らす少女じゃあるまいし。 と自分で考えてさらに自己嫌悪。 「ちょっと、ユーリさん聞いてますか〜。」 スマイルが立ち止まって振り向いた。 「ああ…すまない…」 「あれ、ユーリそれ……」 スマイルが私が手にしたままの板チョコに気付いた。指差された瞬間顔が熱くなった。 もしかして…とスマイルが続きを言う前に彼の言葉を遮った。 「お前を待つ間に食べようと買ったのだ!」 私の勢いに驚いたのか一瞬目を丸くして固まった。 思わず声が大きくなってしまったのを誤魔化すように歩き出す。 並んで歩き出してそっと伺うようにスマイルが聞いてきた。 「………ぼくにじゃないの?」 「何故?」 「……でも、それ…」 「やらんぞ」 「……。」 「……。」 突然ユーリがチョコレートの包装を破いて板チョコを食べ始めた。 「ゆ、ユーリさん…?」 呆気にとられていると半分位無くなったところでピタリと止まった。ついでに歩くのも止まった。 俯いて表情は伺い知れないが肩が小刻みに震えている。 「……ぷっ」 先に沈黙を破ったのはスマイル。 吹き出したと思ったら爆笑し始めた。 何だ!?と顔を上げると人の顔を見て更に笑う。 終いには電柱にしがみついてばしばし叩き始めた。 「あは、は…。ごめん、ごめんね。でもユーリ……。」 はあっと呼吸を落ち着けて。 「……それさ、苦いデショ?」 涙目のまま無言で頷いた。 駅近くの公園のベンチに腰下ろし、口直し。と言いながらスマイルが持っていた紙袋からミミニャミからだと言 うリボンを付けただけの板チョコ(ミルク)を渡された。素直に受け取り口にする。 その甘さにほっとした。 私が買ったチョコレートはカカオ○○%と書かれたビターチョコレートだった。 余り甘いものを好んで食べないスマイルが仕事の合間に時々口にしていたものだ。 ビターと言っても所詮チョコレートだと口にしてみれば……。 「……よく食べられるな。」 「いつものチョコ菓子のイメージで食べるとビックリするかもねぇ…。」 慣れるとビターチョコ癖になりますよ? くすくすと、まだ笑いが収まらないようで先程から手で口元を押さえたままである。 「その板チョコのブラックっていうヤツならユーリも美味しく食べられると思うよ。」 ミミニャミからの板チョコを指して言う。 「ところで。」 何となく気まずくて下げていた顔を上げると満面の笑み。 それ。と食べ掛けのビターチョコを指差し、 「そのチョコくれないの?」 「…しかし、半分食べてしまったから……。」 「ぼくの為に買ってくれたんでしょう?折角だから、ちょうだい?」 おずおずと差し出すとそれはもう嬉しそうにありがとうっユーリ!!とおもいっきり横から抱き締められた。 あまりにも嬉しそうで、ちょっと申し訳なくなる。 「市販の、ただのチョコレートだぞ?」 「ユーリがくれたのが嬉しいんだよ。ぼくの為にわざわざ選んでくれた事が嬉しいの!!」 一層強く抱き締められて、悪い気はしない。 こんなに喜んでくれるなら、たまには贈り物をしてみるのも良いかもしれないなと思いながらもう一欠片チョコ レートを口に放り込んだ。 -------------------- 終われ(^q^) ねえ、どういうこと?サニーより先にユーリでバレンタインラブラブってどういうことなの? と言うかバレンタイン終わったよ?誕生日も終わったよ?どうしたの? 本当はスマ誕のお話候補の1つでした。 実はこの日18日で、行くお店も予約していて、アッシュや他の皆もお店で待っていてユーリ(サニー)がスマイル をそこに誘導してサプライズパーティーという予定でした。 ちなみに一番無いな笑 と即行で候補から消えました。 バレンタインと誕生日無理やり詰め込もうとするから…笑 何か、急に改めてスマユリ書きたくなった。自分で物凄く戸惑いました。 スマイルから一度離れてしまう切っ掛けになったのに、今更?って。 しかも今までこの二人で和やかな内容考えたことなかったのに、ほのぼのしたのが書きたかった。 あ、御幸は物書きさんでは無いので。小説とか書けないので。絵も描けませんが…! この作文能力の無さは小学生さんも吃驚ですよ……。 前は散々スマユリ虐めちゃったから…。 仲良くほのぼの何気無い1日を過ごしていただきたかった。 書いていて思いの外すんなりスマイルとユーリを書けてちょっと不思議な感じでした。 しかし文章が全く思い浮かばずイメージした雰囲気は欠片も表現できないという……。 世の物書きさんすごいです…。