ラビは部屋に迷い込んだ黒猫を溺愛している。 今だってさっきから俺が見ている限りずーっと猫を構っている。 ラビは部屋に猫がやって来ると首にリボンを巻く。もちろん蝶々結び。そして可愛すぎる!!と抱き締めてベッドに転がるのだ。 猫は驚いてラビの腕から逃げ出すものの、何故かラビの横に戻ってきてちょこんと座り直す。 それにまた可愛い!!と今度は猫が驚かないよう少し優しく撫でてラビも猫の横にごろんと転がる。 そうして首のリボンを嬉しそうに眺めたり時々撫でたりしている。 暫くすると猫を抱きかかえたり、ぐりぐり撫で回したり、頬擦りしてみたりベッドの上で転がしてみたり前足を掴んでにゃんにゃんとかやってるなんだよ可愛いな。 眠い猫はわりとなされるがままなのだが、その内鬱陶しくなってくるとラビの手から逃れようとしはじめる。 それでもラビは猫を追いかけて抱きかかえてはベッドにダイブだ。 俺は思う。 ラビが其処らの愛猫家よりも遥かに猫が可愛くて仕方ない人種だとしても。 いくらなんでも構い過ぎじゃないだろうか。猫もよく逃げ出さないもんだ。 それに構い方が、 ……小動物に対するにはスキンシップ過剰過ぎやしないか。 「なあ、ラビ。」 「あれ、ティキ居たの。」 「そのにゃんこよりは先にね。」 無視され続けたあげくそのまま今日が終わりそうだったのでラビと猫のいるベッドにお邪魔する。 ラビが猫にするようにラビをベッドに転がして自分も隣に転がった。 「やん、えっち。」 「誘ってんのそれ。」 「そんな訳あるか。」 ラビから解放された猫はラビの足下で安心したように丸まっている。 (何で其処までラビになつくの……。) 俺の横でラビが暖かい、とくすぐったそうに笑っている。 ラビの頭を引き寄せれば抵抗なく腕の中に収まった。 何だか機嫌が良いラビは俺の胸に頭を押し付けてぐりぐりしてくる。お前が猫みたいだよ。 「人恋しい時って、誰にでもあるよなあ。」 「不潔。」 「…そんな話じゃねぇよ。」 不潔ってアンタ。 何処の箱入りお嬢様の台詞よ。 コイツの過去なんて知らないけれど、多分小さい頃からあのじいさんと二人でブックマンになる為だけに旅をして生きてきたんじゃないかと想像する。 そのせいだか何だか知らないけど。この少年は人に甘えるのがすごく下手だ、と思う。 「俺に甘えてくれれば良いのに。」 「何急に。」 「猫なんかより構ってあげられると思うけど。」 「意味わからん。」 「…本当に?」 「……。」 あ、本当にわかってない顔でした。 絶対怒るから言わないし、言ったところで素直に甘えられるような性格でも立場でも無いのでそれ以上は何も言わないけど。 「…猫が足に寄り掛かって寝てる暖かさとか重さとか、」 「うん?」 「ティキに、抱き締められて窮屈だけど、あったかくて気持ち良い感触とか。」 (でも頭の片隅で消えてくれない罪悪感と不安感とか) 幸せといって良いのか、思って良いものか。良いわけないんだけど。 「ラビ?」 「リボン解くんだな。」 ラビはいつも帰るときには猫のリボンを解いていく。 猫はリボンをしている間も解いた後も特に気にする様子はなく、また昼寝に戻ろうとしている。 「どっか引っ掛けたりして外れなくなったら可哀想だし…。」 「野良として生きるには無い方が良いっしょ。」 いつ、来られなくなるかわからないし。 ラビは名残惜しそうに猫を撫でてから、俺達は部屋を後にした。 ******** 2012/6/11日記 何が書きたかったのかって言うと……猫?かな。 猫に対してスキンシップ過剰なのは私です。 お陰で家の猫は私を見ると大体逃げ出します。 遊んで欲しいときと寂しくて近寄ってくるときの可愛さったら……!(はいはい) ティキラビって原作沿いだとどうしても暗くなりそうなので、現代パロで幼馴染みとかご近所さんな設定でお気楽な感じにやりたい。